“日光不足”の日本人は、近年多くなっていると聞きます。
その理由のひとつとしてあげられるのが、美肌や美白のための過剰なUV対策。
紫外線の肌への影響を恐れ、強い日焼け止めや日傘などを活用し、日光をできるだけ避けようとする人が増えているのです。
それに加えて、コロナ禍によるステイホームや在宅勤務も、日光不足に拍車をかけていると言えるでしょう。
日光浴のメリット
日光浴には、健康効果や美肌効果、リラックス効果などさまざまなメリットが期待できるといわれています。逆に日光浴の時間が減ると、睡眠の質が下がったり、気持ちが落ち込んだり、身体がだるくなることもあります。これらのメリットに大きく関わっているのが「ビタミンD」と「セロトニン」です。日光を浴びると、この2つが生成され、私たちの身体と心によい影響を与えます。
ビタミンDの生成
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けて骨を丈夫にします。
免疫機能を高めたり、脳の機能を正常に保ったりする効果もあるので、骨粗しょう症や認知症などの予防に重要な役割を担う栄養素です。
ビタミンDは、きのこ類のほか、肉・魚・卵といった動物性食品に多く含まれています。食事でとることもできますが、現代の日本人はビタミンDが不足傾向にあるといわれています。
日光に含まれる紫外線が皮膚に当たると、人間はビタミンDを生成することができます。ビタミンDは加齢とともに生成量が減少していくため、日光を浴びて維持するのがおすすめです。
セロトニンの生成
セロトニンは、脳内の神経伝達物質のひとつです。
恐怖や不安・ストレスなどを軽減して、精神を安定させる働きがあるため「幸せホルモン」と呼ばれます。このセロトニンが生成されることも、日光浴の大きなメリットです。眼底にある網膜が光を感じると、セロトニンの分泌が促されます。 セロトニンを生成するためには強い光が必要で、一般的な屋内の照明では明るさが不十分です。強い光を放つ太陽光は、セロトニンの分泌を促すのにとても適しています。
日光浴が足りないとどうなる?
うつの症状
冬になると憂鬱な気持ちになったり、雨や曇りの日が続くと気分が上がらなかったりした経験はありませんか?
それは、日光が足りないことによる、セロトニンの分泌の減少が原因のひとつです。
冬に日照時間が短い北欧諸国では、人々の「冬季うつ」が以前から問題にされています。
セロトニンが足りないことで、うつ病や睡眠障害などを引き起こすことが知られており、それらを予防するためにも、日光浴やセロトニンの分泌を促す行動が必要とされます。
免疫力の低下
日光浴で紫外線を浴びることにより生成されるビタミンD。
ビタミンDは、免疫力を高め、感染症の予防や悪化の予防に効果的なことが分かっています。
その他にも、日光浴による体温の上昇も、免疫力アップにつながるものです。
日光不足はそのようなメリットを排除することになってしまい、免疫力を低下させかねないものです。
骨にも悪影響
日光浴により生成されるビタミンDは、「カルシウム」や「リン」の吸収を促進し、健康的な骨を作る手助けもしています。
そんなビタミンDが不足すると、骨粗鬆症や、骨軟化症などを招くおそれがあり、骨の健康に悪影響です。
また、子どもの日光不足は、骨の発育不良を引き起こし、O脚やくる病などの原因になってしまいます。
日光浴を行う際のポイント・注意点
日光浴の効果をしっかり得るためには普段からそれなりに日光を浴びているつもりでも、実は、きちんと条件を満たせていない可能性もあります。
適切な時間帯は午前中
まず、日光浴に適している時間帯は午前中です。
日光浴の効果を最大限に引き出すためには、朝起きてすぐに太陽の光を浴びましょう。それによりまずはセロトニンが分泌されます。セロトニンには脳や身体を活動モードに切り替える効果があるので、すっきり目覚めて動けるようになるでしょう。
またセロトニンが生成されてから14〜16時間ほどでメラトニンが分泌されるので、睡眠の質を上げるためにも、午前中に日光を浴びておくことが大切です。
適切な頻度は週3回・1日15~30分程度
日光浴の効果を得るためには、毎日欠かさず日光浴をしなければならないわけではありません。
長時間の日光浴はかえって身体に害となる場合もあるので、推奨される日光浴の頻度は週3回・1日15~30分程度です。
ただし、日光の強さは季節や天気によってかなり違うので、条件によって適切な時間も変わってきます。下記を参考にしてみてください。
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- 夏/午前10時までがおすすめ。日差しの強すぎる時間帯に直射日光を浴びると、熱中症のおそれがあるので注意。
- 冬・曇りの日・雨の日/太陽光の量が少ないので、長めに日光浴の時間をとるように意識すると良いです。
ガラス越しではなく直接光を浴びる
残念ながら、室内などガラス越しの日光浴では満足な効果が得られません。
ガラス越しの日光浴でも、ある程度セロトニンを生成する効果は期待できますが、ガラスを通すと光量が減少してしまうのです。また、ガラスは紫外線をブロックするため、ビタミンDを十分に生成することができません。
日光浴の効果を最大に得るためには、屋外へ出るか、窓を開けて網戸越しに太陽の光を浴びることが望ましいでしょう。特に早朝の散歩は、日光浴と軽い運動を同時にできる理想的な生活習慣です。
日光浴は私たちの身体にたくさんのメリットをもたらしてくれます。日々の活力や健康的な身体を保つためには、太陽の光が欠かせないのです。適切な方法で日光浴を習慣化して、太陽のパワーをしっかり受け取りましょう。