ベンチプレスは、大胸筋を発達させるのに最適なトレーニング種目。
ジムでは初心者の方から上級者の方まで、多くの方がベンチプレスで大胸筋を鍛えています。
しかし中には、ベンチプレスでトレーニングをしていると肩が痛くなったという方も多いと思います。
もしくは「ベンチプレスをやるときだけ肩が痛む」なんて方もいらっしゃるかもしれませんね。
ベンチプレスは、正しく適切なフォームでトレーニングをしないと、肩関節を痛めてしまいやすい種目です。
肩関節を痛めると、上半身のトレーニング全般に影響がでます。
ベンチプレスが怪我しやすい理由は多関節運動種目だから
ベンチプレスとは、バーベルとトレーニングベンチの二つの器具を使用して行う大胸筋トレーニング。
肩関節・肘関節の2つの関節を含む、多関節運動種目(コンパウンド種目)に分類されます。
コンパウンド種目であるため、多くの筋肉(上腕三頭筋・三角筋前部・背中・脚)が関与するのですね。
そのため、その他のトレーニング種目と比べると必然的に使用重量が重くなります。
高重量を扱うことで関節への負荷も高まり、肩関節を痛めてしまうのです。
ベンチプレスで肩を痛める原因
①大胸筋をかばい肩への負荷が大きくなる
肩を痛める一番多い原因が、大胸筋をかばうことで肩への負荷が大きくなることです。
大胸筋に筋肉痛があったり無理な負荷でベンチプレスしたりすると、脇が開いたフォームで無理に押し戻そうとします。
脇が開くとその負荷は肩へ….
肩は小さな筋肉なので軽い重量しか扱えず、ペンチプレスの重い負荷では怪我をしてしまいます。
②肩鎖関節の炎症・変化
ベンチプレスのトレーニングで起こる痛みの原因に多いのは、肩鎖関節の炎症です。
肩鎖関節は肩甲骨と鎖骨の間にある関節。
この肩鎖関節に負荷がかかりやすい肩の動きは、肩の水平内転動作です。
ベンチプレスでバーベルを上げる動作ですね。
ナローベンチプレスのように手幅が短いベンチプレスを行うと、この水平内転がより強く作用します。
そのため、肩鎖関節への負荷が高まって痛めやすくなります。
肩の痛みが気になるのであれば、ワイドグリップベンチプレスがおすすめです。
しかし、広げすぎるとまた過度な負荷が入りやすくなるため、慎重に行いましょう。
また、ベンチプレスで鍛えられる大胸筋・三角筋は鎖骨や肩甲骨に接合されているため、筋肉の収縮も関節に負荷となります。
結果的に、オーバーユースによる肩鎖関節の炎症が起こるのです。
(オーバーユースとは何かを使いすぎたり、身体の一部に過度な負荷をかけ続けたりすることによって起こる障害)
また、高負荷のベンチプレストレーニングを長期間続けていくと、軟骨が削れてしまったり、骨が溶けてしまったり(融解症)、反対に骨が増殖(変形性関節症)してしまう可能性があります。
③インピンジメント症候群
ベンチプレスのトレーニングで痛みが出る原因の一つにインピンジメント症候群があります。
肩峰下インピンジメントは、肩甲骨の屋根にあたる肩峰(けんぽう)という部分や、その部分に付着する烏口肩峰靱帯(うこうけんぽじんたい)と下にある腱板がこすれるような状態です。
その間のスペースに炎症が起こり、時には腱板断裂を起こすこともあります。
④インナーマッスル・肩甲下筋の炎症
インナーマッスル、肩甲下筋(けんこうかきん)が炎症を起こす症状です。
肩甲下筋(けんこうかきん)は肩甲骨の裏に付着する筋肉で、肩関節を安定させ、腕を内側にひねる働きがあります。
この症状になっている多くの方は、ベンチプレスでバーベルを動かすとき、肘を肩よりに、横に開いたままトレーニングをしています。
肘を横に開きすぎた状態でベンチプレスを行うと、過度に腕を内側にひねる力が強くなります。
⑤バーをおろす位置が高すぎる
ベンチプレスのトレーニングで、バーベルをおろす位置が、大胸筋よりも鎖骨寄りの高い位置におろしてしまうケースです。
こうすると肩関節にバーベルのウェイトが乗ってしまうため、痛みの原因になります。
バーベルのウェイトは常に、肩甲骨に乗っている状態のまま動作するのが適切なやり方です。
肘が適切な角度で開いている場合、バーベルをおろした位置は胸の少し下のあたり、みぞおちのあたりです。
反対にバーベルを上げるさいは肩の上にバーベルが来るため、ボトムとトップの位置は斜め方向に変わります。
間違ったベンチプレスのやり方を改善するため、下記のポイントを踏まえて取り組んでみましょう。
- バーベルにウェイトをつけず、正しいフォームを意識して動作する
バーベルを下げるさいに、バーベルを制御しやすい軌道を探すことが重要です。
また、胸のおろす位置も、自分が一番力を発揮しやすい位置があるはず。
バーベルをおろす位置も意識してみましょう。
ベンチプレスで肩が痛い場合の対策
胸の張りを意識したフォームにする
まず、胸の張りを意識したフォームしてみましょう。本来、ペンチプレスはしっかり胸を張り胸の高い部分でバーベルを上げ下げするトレーニングです。例えば肩が内側に入って胸が張れていない状態でトレーニングすると、筋肉痛や怪我の可能性も高めてしまします。
筋トレ時にトレーナーがいる方は、しっかり自分が胸を張ったフォームを取れているか確認してもらいましょう。一人で行う場合も、鏡を利用してチェックするのをおすすめします。胸まわりを強化するストレッチも有効です。
肩を収める位置を見直す
ベンチプレスで肩が痛い場合の対策として、肩を収める位置を見直すのも有効です。ベンチプレスのような、力で押すことが必要なトレーニングでは、肩を自分の体の後ろ下にしっかり位置し、固定することが必須となります。
これができると、肩をすくめることもなくなり、自然に胸をしっかり張った姿勢になってきます。ペンチプレスを行う際は、常に肩を収める位置の見直しと固定を意識してみましょう。
脇を締める
脇を締めるという対策も大変有効です。初めは、少し締めすぎかな?と感じるほどの程度までしっかり脇を締めることを意識してみてください。注意なのは、脇を締めると肩をすくめるようなフォームになってしまい、先述した胸をしっかり張ることが困難になる点です。
この状態に陥らないよう、脇を締めると同時に肩の位置、胸の張り感を確認してみてください。こうすることで、重量をしっかり支えられる体の形を作り出すことが可能となります。
ベンチプレスで肩が痛い場合は、できるだけ早めに原因追及を行い、フォームの見直しなど適切な対応を行うのがおすすめです。初めは軽い筋肉痛程度でも、後に深刻な故障に繋がる可能性もあります!