加圧トレーニングは、ハードなトレーニングで得られる筋力アップと同じぐらい効果を得られる方法です。しかし、加圧の加減を間違えてしまうと、重度の疾患を引き起こしてしまう事もあります。
今回はこの「加圧トレーニング」について取り上げます。この加圧トレーニングは、腕と脚の付け根に専用のベルトで圧力をかけて、血流を制限して行うことで低負荷・短時間で効果を出すことが可能な筋力トレーニングです。
血流を制限することで、筋肉を素早く低酸素化させる事が出来ます。
筋肉内が低酸素化すると、日常では使われにくい、多くの筋繊維(基礎代謝量に影響しやすい速筋繊維)を刺激する事が出来ます。
加圧トレーニングのメリット
加圧トレーニングのメリットは、非常に疲労感が強く出るトレーニング方法ではありますが、成長ホルモンを多く分泌するため、筋肉を育てることにとても役立ちます。
また、もう一つ、加圧トレーニングには大きなメリットがあります。それが、「『けが』をしにくいトレーニング方法である」ということです。筋肉を鍛える運動は、しばしば「けが」と隣り合わせです。もちろん、きちんとした準備運動、きちんとしたフォーム、基本に忠実なトレーニングのやり方を守ることでそのリスクを軽減することはできます。
しかし、自分に見合わない高負荷のものを扱ったり、フォームが無意識のうちに崩れていたり、疲労がたまりすぎていたりしていた場合、人は容易にけがをします。特に「靭帯(じんたい)」は、あらゆる種類のトレーニング、あらゆる部分のトレーニングにおいて、もっとも痛めやすい部分です。
運動に相当慣れている人であっても、非常によく壊す部分です。しかし加圧トレーニングの場合、高負荷のものを扱わずとも、低負荷のものでも十分な運動になります。なので、加圧トレーニングは非常にけがをしにくいトレーニング方法です。
加圧トレーニングのデメリット
加圧トレーニングはたしかに「正しい状態で」行っているのであれば極めて安全なトレーニングですが、少しやり方を間違えるだけで、重い障害をもたらしかねない運動に早変わりします。加圧トレーニングは、「本来行き来すべき血液を物理的に流れにくくする」というトレーニング方法です。そのため、酸素や栄養が各細胞に届きにくくなります。
少し間違えたやり方をすると、細胞の壊死さえも招くトレーニング方法なのです。このように、加圧トレーニングは非常に特殊なトレーニング方法だといえます。現在は家で行う加圧トレーニングなどもよく取り上げられていますが、安全面を考えるのであれば、ジムなどで専門のトレーナーの監修のもとで行うのが原則です。
正しいやり方を教えてもらえますし、万が一のことがあってもすぐに対応できます。また、自宅で行いたい場合は、まずは専門家のトレーナーに教えを仰ぎ、十分に知識とやり方を学んだ後に、そのやり方を忠実になぞって行うことが何よりも重要です。
加圧トレーニングを行う上での注意点
- 医師から運動の制限をうけていないか
- 血行動態の不安定なひとはやらないか加圧トレーニングの資格を持つ専門医へ
- 血栓をもつ、血栓のリスクの高いひともやらない
- 加圧トレーニング中、止血になっていないか
- 迷走神経反射を起こさないように気分が悪いなどの前駆症状に注意し加圧トレーニング中も水分補給をしっかり行う。
- 高すぎる圧に注意し適正圧で行う
- 血圧を測定し160/100mmHg以下に管理する
- 長時間の加圧トレーニングを避ける。
- 体調が悪いときは圧を下げて調整か行わないようにする。
短時間、低負荷で行える加圧トレーニングですが、やり方を間違えずに信頼できる指導者のもと加圧トレーニングを実施する分には十分な効果を期待できるトレーニングです。
さらに加圧トレーニングは血流制限によって血液の流れを活発にし、今まで使われていなかった血管を血液で満たします。それにより、身体の末端の神経や血管、細胞が健康になり、免疫力の向上や冷え性の改善、骨や筋肉の回復効果をもたらします。
加圧トレーニングをする際には、必ず勉強してから実施するようにしましょう。