カフェインが運動に及ぼす影響

カフェインはココア、茶など、数十種類の植物に自然に含まれており、コーヒー、ソフトドリンク、緑茶などの飲料形態で頻繁に摂取されている。欧米諸国では成人の約90%が約200mg/日を摂取していて、カフェインを利用した飲食物としては、サプリメント、チューインガム、エネルギージェル、エアロゾルなどがある。カフェイン含有製品はミルクチョコレートの1mgから一部の栄養補助食品の300mgと幅がある。

競技前や競技中の不安は、パフォーマンスだけでなく怪我のリスク増加を招く可能性がある。不安になりやすいアスリートは、カフェイン使用によって不安のリスクを増大させ得る。

カフェインは「運動能力促進に明らかに安全で効果あり」と証明済

カフェインでパフォーマンスアップが起こる4つのメカニズム

カフェインの摂取によって以下4つのメカニズムが脳・身体で働くことにより、運動パフォーマンスがアップすると言われています。

  1. 脂肪細胞から脂肪酸を分解して血中に放出
  2. アデノシン受容体の働きを鈍くさせる
  3. ドーパミン・アドレナリンの放出
  4. 筋肉内のカルシウムイオン増加

カフェインの効果でアップする運動能力

持久系運動パフォーマンス(マラソンなど)におけるカフェインの効果を示したレビューによると、「体重1kgあたり約6mg」のカフェインを「約60分前」に摂取することで持久系運動の能力がアップする、と示されています。

カフェインが持久系運動パフォーマンスをアップさせるメカニズムは、まず1つは脂肪をエネルギーとして効率よく利用できるようになることです。

カフェインの摂取効果で、脂肪細胞から脂肪酸を分解して血中に放出してくれるため、その脂肪酸を持久系運動でエネルギーとして効率よく使えるようになります。

結果、体内に蓄えられている糖質(グリコーゲン)の使用をセーブすることができるようになるため、より長い時間運動ができるようになる、というメカニズムです。

またアデノシン受容体の反応を鈍くさせるというメカニズムも、持久系運動パフォーマンス向上に一役買います。

長時間の持久系運動(有酸素運動)をやり続けていると疲れてきますよね? すると「アデノシン」という物質が脳に分泌されます。

そのアデノシンが「アデノシン受容体」によって受け取られると、「痛み」や「疲れ」を実際に脳が感じ、「もうこれ以上その運動はやめろ!」という信号を出すため、運動パフォーマンスは低下していきます。

しかしカフェインを摂取すると、アデノシンがくっつくはずのアデノシン受容体に、カフェインがくっつきます(カフェインとアデノシンは構造が似ている)。

カフェインを受け取ってしまったアデノシン受容体は、運動中にアデノシンが脳に分泌されてもそのアデノシンを受け取ることができないため、結果「痛み」や「疲れ」の信号を受け取れなくなります。

運動中にパフォーマンスが低下してくる要因の1つは「脳が痛みや疲れを感じ、これ以上動き続けたらまずい!と判断して身体にストップをかける」ことなので、アデノシン受容体がアデノシンを受け取れなくなることで、脳が痛みや疲れを感じづらくなり、結果として運動パフォーマンスをより長い時間維持させることができるようになります。

無酸素系運動もパフォーマンスアップ

 

カフェインの摂取によって持久系の運動パフォーマンスがアップすることは、非常に多くの研究によって証明されていますが、無酸素系運動(筋トレ・短距離ダッシュなど)については、結果が分かれています。

おそらく無酸素系のパフォーマンスもカフェインの摂取によって向上するだろう、というのが今のところの結論になります。

カフェインによって筋力アップが起こる理由として言われているメカニズムは2つ。

  • 脳に「ドーパミン」や「アドレナリン」が放出されることを促進する
  • 筋肉内にカルシウムイオンを増やす

ドーパミンは脳の「報酬系」と呼ばれる領域が司る、別名「快楽ホルモン」です。アドレナリンは別名「闘争ホルモン」と呼ばれ、ドーパミンやアドレナリンが出ることで、集中力ややる気がアップします。

これらのホルモンがカフェイン摂取によって放出されることで、筋力を発揮する際のエネルギーが素早く作られるようになる、と考えられます。

摂取量・タイミングについては、参考資料や研究結果をもとに考えると、「筋トレを始める30〜60分前」に「体重1kgあたり3〜6mg」のカフェインを摂取することで、筋トレの効果が高まる、と示しています。

カフェインの摂りすぎは逆に疲労感を招く

適量のカフェイン摂取は疲労感を和らげてくれますが、摂取量が増えると逆に疲れてしまいます

カフェインの摂取によってアデノシン受容体の反応が鈍くなるのですが、カフェインの摂取量が増えていくと、次第にアデノシン受容体自体の数を脳は増やし始めます。

受容体自体の数が増えることで、今度はカフェインに敏感になりすぎて、逆に疲れが溜まってしまうようです。花粉症のような、カラダに害のないものに過剰な免疫反応が起きてしまうアレルギー反応と同じです。

カフェインの過剰摂取は副作用あり

一度にカフェインを300mg以上摂ると、カフェインによるメリットは薄れていくとされています。

また、一度に400mg以上のカフェインの摂取(もしくは体重1kgあたり10mg以上の摂取)は、不安になる」「焦り・苛立ち」「頭痛」「血圧の上昇」「不眠などの副作用が出ると言われています。

個人によってカフェインの感受性が違うので、400mg以下の摂取でも副作用が出てくる人はいます。

真剣に運動・スポーツをしている方や、効率的に脂肪を減らしたいという方にとっては、カフェインは摂取量さえ増やし過ぎなければ、安全で効果の高い成分です。

ぜひうまく活用していただけたらと思います。









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