病気に負けずに健康な毎日を送るには、免疫力を高めることが重要です。免疫力とは、病原菌やウイルスなどの異物から体を守る機能のこと。免疫力が下がるということは、体を守る力が弱まるということなので、病気にかかりやすくなってしまいます。
また、汚染物質やほこり、老廃物などを処理するのも免疫の役割なので、免疫が下がるとアレルギー症状が出たり、肌荒れしやすくなったりもします。それでは、免疫力を高めて、病気に強い健康な体にするにはどうすればいいでしょうか?
「免疫力を高める」とはどういうこと?
そもそも「免疫力を高める」とは、どういうことなのでしょうか。前述のとおり、私たちの体は免疫によって病原菌やウイルス、汚染物質といった有害なものに対抗しています。
免疫の種類は大きく分けて「自然免疫」と「獲得免疫」の2つに分かれます。
- 自然免疫:生まれつき体に備わっている仕組みで、体内に異物が入り込んだときに真っ先に動き、異物を攻撃する
- 獲得免疫:以前体内に入り込んだ異物と同じものが入り込んだ場合に、過去の記憶をもとに異物と戦う
これらの免疫は、マクロファージやT細胞、B細胞といったさまざまな免疫細胞が、サイトカインと呼ばれるタンパク質を分泌し、情報を伝達し合うことで機能しています。つまり免疫力を高めるとは、これらの免疫細胞を活発化させてしっかり働くようにするということです。
免疫細胞は加齢やストレス、睡眠不足、偏った食生活などに弱いため、活発化させるにはこれらの原因を取り除き、免疫細胞がよろこぶ行動や食事を取る必要があります。
免疫力を高める方法
①代謝・体温を上げる
代謝や体温を上げることは、免疫力を高めることにつながります。免疫細胞のなかには、異物が入り込んだときに抗体を作るよう指令を出すT細胞と、T細胞の指令を受けて抗体を作り出すB細胞というリンパ球が存在するのですが、リンパ球は体温が上がると増えて活発化する性質があるためです。
免疫細胞が正常に働ける体温は36.5℃程度で、そこから体温が1℃下がると免疫力が30%ほど下がり、1℃上がると免疫力が最大5~6倍ほど高まるといわれています。風邪などをひいたときに熱が出るのは、体が体温を上げることで免疫細胞を活発化させ、病原菌を退治しようとしているからなのです。
また、体温が上がると副交感神経という、心拍数や血圧を下げる働きがある神経が優位になって体がリラックスするため、ストレスの軽減にもつながります。1日10分程度でよいので、少し汗をかくくらいの運動をしたり、40度くらいのお風呂につかったりしてみましょう。
②質の良い睡眠をとる
免疫力を高めるには、質の良い睡眠をとることも重要です。睡眠中は副交感神経が優位になり、心も体も緊張状態から解き放たれてリラックスするため、免疫細胞が非常に活発になります。
質の良い睡眠とは、「途中で目覚めることなく朝まで安眠できる」「目覚めがよく、起きてすぐに動ける」「日中に眠気が出ない」などの条件を満たす睡眠です。質の良い睡眠をとるには、以下のようなことを心がけましょう。
- 毎日同じ時間に目覚め、同じ時間に寝る
- 朝日を浴びる
- 朝食をしっかり取る
- 寝る2~3時間前に入浴を済ませる
- 寝る直前に食べない
- 寝る前にTVやスマートフォンを見るのをやめる
- 睡眠時は室内の温度や湿度を快適に保つ
また、ぐっすりと眠るためには副交感神経が優位になる必要がありますが、ストレスを感じると体を覚醒させる交感神経が優位になってしまうため、ストレスをためないことも大切です。
③食事に気を配り腸内環境を整える
「免疫力アップ」や「免疫機能強化」に効果があるという食品を見かけたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、特定の食品を摂取したからといって免疫機能が良くなるわけではありません。
免疫機能を維持するためには、特定の食品に偏ることなく1日3食栄養バランスの良い食事を摂ることが重要です。
「栄養バランスの良い食事ってどんな内容にしたらいいんだろう……。」
と不安に思う方も多いかもしれませんね。
栄養バランスを整えるためには、「食事バランスガイド」を使うのがおすすめです。
食事バランスガイドは厚生労働省と農林水産省が共同で策定したもので、「主食や副菜などをどれくらい食べればバランス良く栄養を摂取できるか」という目安が示されています。
免疫力を高める栄養素・食材
免疫細胞や善玉菌を活発化させ、免疫力を高める栄養素は、ビタミン(B、C、A、E)、ミネラル、タンパク質などです。これらの栄養素が豊富な食材には、以下のようなものがあります。
- ビタミンB:卵、納豆、乳製品、レバーなど
- ビタミンC:柑橘類、野菜など
- ビタミンA:卵、チーズ、緑黄色野菜など
- ビタミンE:ナッツ類、かぼちゃ、アボカドなど
- ミネラル:するめ、鰹節、牡蠣、ココアなど
- タンパク質:卵、乳製品、肉類、魚介類、大豆など
過剰なストレスは、免疫細胞の機能を低下させます。ストレスがある時に風邪をひきやすくなったり、皮膚に不調が出たりするのはこのためです。しかし、ストレスを気にしすぎることで、かえって健康に悪い影響を与える可能性もありますから、くよくよ考えすぎないほうが得策です。
適度な有酸素運動を毎日続ける、入浴時にはシャワーだけでなくぬるめのお湯にゆっくりつかる、バランスのよい食事を規則正しく摂る。当たり前に聞こえるこれらのことを、1回、2回だけ意識して行うのではなく、日々習慣化し、続けていくことが大切です。